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坂道・土地の由来を考えること

2011/04/08
復興にむけて考えなければならないことがあります。
でもなかなか答えが出ないのです。煮詰まります。
自責的になったり、いらだったりすることもあります。
そんなとき、ユーモアとは何かと思いました。
ユーモアは「にもかかわらず笑うこと」と言います。
人間の底力、人間の智慧でもありましょう。

NHKで木曜日の10時放映されていた「ブラタモリ第2シリーズ」が終わってしまいました。
しばしの別れにさびしさを禁じえませんが、第3シリーズが始まるまでの辛抱、
「さよならは別れの言葉ではなくて、再び会うまでの遠い約束♪」と思うことにしました。

タモリさんの本に「タモリのTOKYO坂道美学入門」講談社 があります。
tamori.jpg

その本の中で、坂道の鑑賞のポイントは、
1. 勾配の具合。    
2. 湾曲のしかた。
3. 周囲に江戸の風情をかもし出すものがある。
4. 名前に由来・由緒がある。
と言っています。
                                   
SMAPの木村拓哉さんや草薙剛さんは、その坂道のいくつかをある番組で何本も走っていました。
私にはとてもできない試みであり(やれるともやろうとも思わない)、
坂を疾走する人たちに、ただただ「ご苦労さま」としか言えません。
思えば坂を全速力でかけあがるだけの企画ですが、しかし妙に見入ってしまいました。
坂を登るという行為は、人を非日常にふれさせ、神聖な気持ちにさせることにつながるのでしょうか。

タモリさんは、土地の高低差に注目します。
地表が時代の中でどんなに変化したとしても、地形は、坂は、「時代を超える、時間を超える」と言います。
そして彼は、土地は記憶しているというのです。
まるで「坂」と対話しているようです。
坂の発する、目には見えない、耳には聞こえないメッセージを心でとらえようとしているかのようです。

たしかに土地の由来、土地の歴史を考えると、今見えている景色が違ってみえそうです。
そこに立っているのは自分一人かもしれないけれど、さまざまな時代を生きてきた人たちと、
心がつながり、景色が多層にみえてきます。
過去と今が対話して、つながりを確認しているようです。
オーケストラが奏でる音楽が聞こえてくるようです。
一人より二人、現代だけでなく過去を重ねてみていくと、自分を超えた豊かなものにふれる気がして、
そしてその豊かなものは心を遊ばせ、湧水のようにエネルギーをくれます。

坂道のほかに、タモリさんは川の源流を見つけようとします。
「池袋」とは川が合流する場所をさしているといい、川が合流するところ、
つまり「池袋」の名前の由来を調べに行きました。もちろん今そこには川はありません。
しかし、彼は高低差と、道筋で推理するのです。土地の名前は慎み深く、
その由来を探してくれるのを待っています。

暗渠(ふたをされた川、埋めたてられ失われた川)については、
とくに彼のアンテナがピピピ(・・・)と動きます。
この道は微妙に湾曲している、これは川のあとではないかと推理するのです。
渋谷川もそうでした。渋谷川を古地図とともにさかのぼり、
その源流を見つけた(新宿区にある天竜寺というところにある池が源流)ときのタモリさんは
とてもきらきらしていました。
命の源を見つけたように、大事な宝物を見つけたように。

川には、始まりがあって終わりがあり、荒削りな上流、そしてまっすぐに海へ向かう中流、
そしてゆったり海にそそぐ下流。ときに暗渠になります。
埋め立てられて川筋がなくなることもあります。
川には歴史が、春夏秋冬が、起承転結、挫折と回復が人間の歴史のように内在しています。

川や坂との対話していくことは、カウンセリングにおける、
クライエントとカウンセラーの対話にも似ていると思います。
川の流れや高低差に気づいていくこと、つまり日常の小さなことに目を向けることが、
実は豊かで深い世界とつながると思います。
人間は一人ではないと感じられ、一人では何もできないと思い知らされ、
自分が今ここにあることを実感させてくれるのです。

この本もお勧めです。中沢新一著「アースダイバー」(講談社)

earth.jpg


沖積層と洪積層とがぶつかりあうところに、坂と谷が出会ったところに、
いきいきとした文化が生まれると言っています。
異なるものが出会ったときに、まじわったとき、
その中間領域に、何か新しいものが生まれるのでしょうか。
そんなことを考えました。

by T.T
10:39 その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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