今年の1冊
2011/12/28
今年読んで良かったと思う本、
1冊だけ選ぶとすれば私はこれです。
山本兼一著 「利休にたずねよ」
「侘び茶人」として知られる千利休、
でも本当は
「ギラリとした情熱を秘めた人だったのでは?」と疑問を抱いた著者。
単に枯れているのではなく、
“艶やかなる”利休の茶の世界を描きました。
登場人物がこれまたとっても豪華。
豊臣秀吉をはじめ、石田光成、徳川家康、細川忠興、古田織部など
利休をとりまく戦国武将オールスターズが、
各々「彼はこんな人だった」と利休観を語ります。
実はこの小説、
心理学的な読み方も楽しめるのです。
それは、
利休の物語ではなく
武将達自身の物語として読む。
すなわち、武将達は利休のことを語りながらも、
自身のことを語っているという読み方です。
これは心理学で定義される「投映」というもの。
投映とは、己の感情、概念、衝動を
他人が持っているとみなす無意識的な心の動きです。
著者がそこまで意図して書いたどうかは
定かではありませんが、
2通りの楽しみ方ができるこの小説。
ページを開けば、
深く、静かで、けれども熱い情熱を秘めた
利休の茶室へと誘ってくれることでしょう。
(M.H)
1冊だけ選ぶとすれば私はこれです。
山本兼一著 「利休にたずねよ」
「侘び茶人」として知られる千利休、
でも本当は
「ギラリとした情熱を秘めた人だったのでは?」と疑問を抱いた著者。
単に枯れているのではなく、
“艶やかなる”利休の茶の世界を描きました。
登場人物がこれまたとっても豪華。
豊臣秀吉をはじめ、石田光成、徳川家康、細川忠興、古田織部など
利休をとりまく戦国武将オールスターズが、
各々「彼はこんな人だった」と利休観を語ります。
実はこの小説、
心理学的な読み方も楽しめるのです。
それは、
利休の物語ではなく
武将達自身の物語として読む。
すなわち、武将達は利休のことを語りながらも、
自身のことを語っているという読み方です。
これは心理学で定義される「投映」というもの。
投映とは、己の感情、概念、衝動を
他人が持っているとみなす無意識的な心の動きです。
著者がそこまで意図して書いたどうかは
定かではありませんが、
2通りの楽しみ方ができるこの小説。
ページを開けば、
深く、静かで、けれども熱い情熱を秘めた
利休の茶室へと誘ってくれることでしょう。
(M.H)