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豊穣の土地に安らぎを

2014/08/25
「ああ、偉大なるは神(アッラー・アクバル)」
「ああ、洋服一枚になった我々にモスクを残してくれた、神様、、」

2005年3月。私はインドネシアのバンダ・アチェにいました。2004年12月26日、22万人以上が死亡・行方不明となった「ツナミ」で大きな被害を地域です。

アチェは敬虔なイスラム教信者で占められています。私が海の近くに建てられたモスクまで歩いていくと、人々が口ぐちに「アッラーのおかげだ。奇跡だ、モスクが残った」と。確かにことごく建物が流された中で、モスクは際立っていました。

しかし、日本の小学生ならこういうでしょう。
「あのさあ、おじさん。当たり前じゃん。モスクは柱だけで壁がないんだから、ツナミの海水が素通りするじゃん。倒れるわけないでしょ。神さまじゃないって」と。

でも私は感動していました。「理屈じゃない。なんだっていいから気持ちが救われるならいいじゃないか」と。乱暴かもしれませんが、歴史に残る悲劇を生き延びることに、いちいち説明などいらないのでは、と。

このほかにもアチェでは、さまざまな「生きる知恵」に出合いました。

まだ口のまわらない幼子が「パパもママも死んだよ、でもね、苦しみを一つ乗り終えると天国に一つ近づくの」、と言う。この子だけではなく、アチェの多くの人々が同じように語り「天国に一つ近づいた」というのです。

また、アチェはコーヒー文化で、村に2,3のカフェがあります。当たり前のように昼間から人々が集まり、たわいのない話題に華を咲かせる。それはよく聞けば、ツナミ被害の苦しみ、悲しみなのですが、仲間で共有することで気持ちの荷が下りているようでした。

さらに「祈り」です。実際のイスラムの祈りの横にぴったりとつき、やり方を教えてもらいました。これが日本人には非常に難しいのですが、同じ動きをなめらかに何度もくりかえすうちに体が伸び、呼吸が深くなるのです。アチェの人々は祈りが終わると「すっきりだ」と笑顔でした。

「神のおかげでモスクが残った」「天国に一歩近づいた」は、ものの見方=認知を変える強烈ともいえる方法です。カフェでの会話は心理学でいうグループワークでしょうか。また、祈りは呼吸法であり、ストレッチにあたるのかもしれません。

アチェは長い間、インドネシア本国と内戦状態にありました。あまりに豊かな天然資源の取り分をめぐり、本国と争いになったのです。ツナミの後、アチェは「世界中の注目」を味方に停戦にこぎつけ、今は高度な自治を持った州となりました。

あの苦難の中で笑顔を向けてくれた豊穣の土地・アチェの人々。真の安らぎが彼らに訪れることを祈ってやみません。
17:12 その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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