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子供時代には“こども”を

2015/08/24
「私は8歳なの」。戸惑った顔をする私にその女の子は「8歳!」ともう一度大きな声で言いました。どう見ても3歳ぐらいなのに、、

その場所はバングラディシュの首都ダッカから車で2時間のスラム街。女の子の“職業”は現地でいう“メイド”(家政婦)です。現地の通訳がすまなそうに肩をすくめました。「この子たちは年が上がると給料も上がる。だから実際の年齢より高く言うのが常でして」

何が仕事で大変かと問うと、外国人見たさに集まってきた小さな女の子たちが「そうね、雇い主から怒られることかな」「私は大きな魚をさばくのが苦手なの」「賃金が上がらないのはちょっとね」と次々に答えます。

路地に出れば小学生ぐらいの男の子たちが「このブレスレットはいかが?白い肌にお似合いだ」と言葉たくみに近づいてきます。通訳は「この国では14歳までの労働は禁止。けれどこの子たちが働かないと経済が成り立たないのが現実です」とため息をつきました。

子供を働かすなんて、と眉をひそめるかもしれません。しかし日本も子供を取り巻く環境はどんどん厳しくなっています。

厚生労働省発表の子供の貧困率は16.3%(2012年)、325万人に達するといわれています。子供の6人に一人が貧困という現実。このような子供たちに「努力しろ」と言っても親がDV被害者だったり精神疾患、アルコールをはじめとする依存症で児童虐待を繰り返していたりと、そもそも“頑張る土壌”がありません。食べ物や家もままならず、生活が成り立っていないのです。

厳しい日常を生きる子供たちには食事や服だけでなく、心の成長の支援も必要です。なぜなら人はその成長過程でこなす課題があると言われているからです。この理論を提唱したのが発達心理学者のエリック・エリクソン。例えば0-1歳時は“基本的信頼”と“不信”を心の中で戦わせ、「希望」を導き出します。6-11歳の児童期では“この世の中で自己成熟できるのか”と自問自答しながら「有能感」が出現します。

世界中の子供たちに「子供時代は子供」をやってほしい。子供時代を経験できなければどこかでやり直すことになります。ダッカの路上で「歌は?詩は?」とせがむ子たちの前で「世界に一つだけの花」を振りつきで歌った私をとびきりの笑顔で包んでくれた子供たち、そして日本でタフな状況の中を生き抜く子供たちに平穏な日々が一日も早く訪れることを心より願います。

N.S
15:57 その他 | コメント(0) | トラックバック(0)
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